
12月2日アクティブ講演会『成人した今だから語れるPart2~発達障がい当事者が振り返る~』を開催しました。
当日は多くの方に参加いただきました。
第1部は、浜松市発達相談支援センター「ルピロ」内山 敏所長による
「ルピロの相談から見える成人期のこと」と題して基調講演をお願い致しました。
現在、成人期のルピロへの相談が全体の相談の約4割を占めるとの事です。
相談内容も、本人は困っていないが、周りが困っているなど、本人以外でも結婚後の配偶者や会社関係者などの相談も多くあり内容が大変複雑に絡み合っているそうです。
幼少期に比べて成人になるにつれて『二次障害』⇒(さまざまな精神身体症状/社会不適応)の症状が出たことから、ルピロをはじめ相談機関に足を運ぶ方も多くいますが、その時、支援者・保護者・教育関係者などほとんどが、『二次障害』の困難さを解決するために『二次障害』そのものに目を向けがちとの事です。
しかし、『二次障害』は、“困り感の階層”の上層にあり、『二次障害』の困難さを解決するには、下層である
①“基礎特性”⇒(発達の偏りによる強い違和感や不快感)
②“原体験”⇒(くりかえす失敗体験/慢性的な叱られ体験)
の階層に着目することで、その上層にある
③『二次障害』の困難さの解決がみえてくるとの事でした。
『二次障害』の困難さを取りぞくくためには階層をイメージすること、私自身も相談を受けることがありますが『二次障害』そのものを見ている事が多いので、階層をイメージする事に意識をしたいと思いました。
『支援』についても、〔 してやる支援=枠にはめ込む 〕を当事者を取り巻く保護者や支援者(教育・行政etc)がしていることが大変多く、本来は『支援』の主体はあくまでも当事者が求めるものであり、支援者は求められた支援に対して助けがあるように支援するとの考えのバランスが崩れています。〔障がいがあっても自己選択⇒求められる支援〕に支援の考えが変わることが、今後の支援の在り方であるとの事でした。
内山所長が、参加者に分かりやすく講演いただき、保護者や支援者など、それぞれの立場から、新たな気付きがあった時間でした。
第2部は、『成人した今だから語れることPart2 ~発達障がい当事者が振り返る~』をテーマに、浜松成人発達障害サロン『ADvanceD』代表 鈴木学氏と同会員2名の方と内山所長と当会代表の浅井の5名で対談をおこないました。
今回、当事者としてお招きした3名の方は、発達障がいの診断を大人になってから受けた方でしたが、診断を受けていないな時期の、学齢期などでも、保護者が、『これくらいは出来るであろう』と、みんなと同じように出来る=平均を求める育て方をする、本人たちも一生懸命保護者が求める事をしているつもりだったが、出来ない葛藤があったそうです。保護者の立場から考えると、周りが出来るなら出来るとの概念があるので、子どもが出来ない事で、子育てが空回りして、特に親子関係がデリケートであったのであろうと想像が出来ました。学校でも同じように平均を求めらていたので、生きづらい場面があったそうです。
しかし、今回対談していただいた3名の方は、それぞれ自分の居場所や趣味をみつけることによって、生きづらさと向き合っていくことが出来るようになってきたそうです。
診断がついたからではなくて、高校へ進学することで中学まで感じていた違和感を共有出来る仲間と出会えたり、大学で本当に自分の考えを話せる親友に出会えたり、車をさわったり、改造したりすることで、居場所をみつけたり・・。個人的な感想として、保護者とみなさんに程よい距離感も出来たのかな??と思いました・・。
ADvanceDは、セルフヘルプの考えを大切に、支援してもらうのが当たり前でなく、自分達の力で出来る事は自己向上・発展していく活動をしているそうです。今回も当事者のみなさんが70名の参加者の前で、包み隠さず自分の過去を振り返ってくださり、周囲の人々が勝手に当事者はきっとそう感じているであろうと、想像にしていたことに対して、当事者の生の声を聞く事で自分達の想像とは違う気づきを多く知ることが出来ました。
多くの参加者からも、当事者から実体験を聞く事は、初めてだったのでそれぞれの立場になったとき、今後の寄り添い方の参考になったと感想をもらいました。当事者の方も参加されていて、自分と同じ思いを聞く事が出来心強かったとの感想もありました。
ルピロ内山所長・ADvanceD鈴木代表と2名のみなさんを、はじめ多くの方に今回協力をいただき講演会を無事に開催することが出来ました。
参加されたみなさまも、本当にありがとうございました。